ネッツトヨタ中部のWEBマガジン

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職業体験実習

2022年9月15日(木)・16日(金) テクノ東郷

2022年9月15日(木)・16(金)の2日間にわたり、ネッツトヨタ中部株式会社テクノ東郷にて、東郷町立諸輪中学校の生徒さんが職業体験実習を行いました。今回は実習2日目の様子を中心にレポートします。

愛知県の教育カリキュラムの一環で、進路や就業を取り巻く環境が大きく変化する中で、将来に夢と希望を持ち、活力に満ちた若者を育てるために、さまざまな職 場での社会体験を通して、働くことの厳しさや楽しさ、やりがいなどを感じてもらうことを目的として開催された職業体験実習。今回、体験の場となった「テクノ 東郷」は、ネッツトヨタ中部の各店舗でお客様からお預かりした愛車のキズやヘコミの修理、事故車の板金・塗装修理などを行う拠点です。講師を務めたのは、ボ ディリペアグループ板金担当・小坂井俊也エンジニアと、塗装担当・山家裕介エンジニアの入社3年目の同期コンビがプロの現場を体験していただくガイド役とな りました。

プロの仕事を疑似体験できる2日間

今回の実習に参加してくれたのは、諸輪中学校2年生の岩月さん、酒井さん、高島さん、堀田さんの4名。テクノ東郷 と諸輪中学校は2.6km程度の距離です。そんなご近所さんでもある諸輪中学校の生徒さんは、4人揃って自転車で“出 社”。2日間のプログラムですが、1日目の午前中は、板金工場の仕事内容をはじめ、整理・整頓などの「4S」や、社 会人として必要な「報・連・相」についてなどを学びました。そのためか、みんな少し緊張気味だったそう。午後か らは工場に移動し、運ばれてくる事故車や板金修理を見学。火花が飛び散る溶接作業を目の当たりにして、「こんな に火の近くで作業するんだ!」と、プロの仕事のすごさを実感したようです。 そして本日は実習2日目。スタッフとお揃いのつなぎに着替え、工場の清掃から始まります。9時30分のチャイムを合 図に朝礼がスタート。掛け声とともに元気に体操、スタッフ全員で仕事で大切なポイントを読み上げます。みんなの 気持ちがひとつになったら、それぞれ持ち場へ移動して業務開始です!

初めて経験するカラフルな塗装の世界

まずは塗装実習から。この実習では、塗料の調色実演とスプレーガンによる 塗装体験を行います。防毒マスクと手袋をしっかり着用して、いざ調色室へ 。ここでは複数の塗料を混ぜ合わせて指定の色を作ります。トヨタが使用し ているのは、環境と人にやさしい水性塗料。今回作る塗料は数多くのトヨタ 車に採用されているシルバーメタリック「1F7」。ベースの銀色に白や黒、 青などを混ぜていきます。「銀色なのに青なんて混ぜて変な色になるのでは ?」と不思議がる生徒たちに、「実は一つの塗料をそのまま使うことって少 ないんだよ。例えば白色でも、緑っぽい白もあれば、黄色っぽい白もある。 白だけでもこんなに種類があるんだよ」と山家講師。広げたカラーチップの 色の豊富さに驚きの声が上がります。光沢を帯びた塗料を見つけ、「よく見 るとキラキラした粒が見える!」と興奮気味の生徒たち。 完成した塗料を入れたスプレーガンを取り付けると、これが意外と重い…。 スプレーガンから塗料が吹き出した瞬間、みんなびっくりして思わず後ずさ り。「左右に6回、3往復吹きかけてね」。色ムラができないようにするのが とても難しいようで、手を少し早く動かしてみたり、ゆっくり動かしてみた り。ドライヤーで乾燥させたら、さらに吹き付け。これを3回繰り返して一 連の作業が完了です。

プラモデルのボディ塗装は真剣勝負!

整備工場へと移動します。ここでプラモデルが登場。車種はレクサスのスー パーカー「LFA」。このプラモデルの真っ白なボディに塗装をするわけです が、まずは耐水ペーパーで全体を満遍なく磨いていきます。これは“足付け ”といわれる作業で、目の粗い耐水ペーパー(1500番相当)で磨いて表面 に凹凸を付けることで、塗料の付着力を向上させます。山家講師から「みん な家で皿洗いする?」と聞かれ、「あまりやらないです…」、「じゃあ、こ れを機会に始めようね(笑)」といった微笑ましいやりとりも。和やかな雰 囲気の中、みんなでボディをゴシゴシ。 足付けが完了したらいよいよボディに塗装を施します。先ほどのテストを思 い出しながら、ムラにならないように丁寧に塗料を吹き付けていきます。生 徒さんの表情は真剣そのもの。土台になっているペットボトルを触って塗料 が乾いているかをチェック。3回塗り重ねたところで、「ちょっと塗りが足 りないから、もう1回だけ塗ろうか」と、仕上がりを見た山家講師からプロ ならでは指摘。4回吹き付けてやっと完成しました。高島さんは「しっかり 乾かしてから塗るといいとアドバイスをもらったらうまくできました!」と ご満悦。メタリックシルバーに染まったLFAのボティがキラリと光ります。

激ムズ!スプーン作りで板金体験

続いて板金体験では、型に乗せた平たい金属プレートを木ハンマーで叩いて スプーンの形を作ります。みんな慎重にゆっくり叩き始めます。けれどなか なか真ん中がへこまない…。「これじゃあ、汁が少ししかすくえないね。ダ イエット用スプーンだね!(笑)」。ここで小坂井講師のお手本。「強く大 きく叩くよりも、細かく叩くのがコツ」。そう言うと、目にも止まらぬスピ ードでハンマーを連打。その勢いに一同啞然。しかし、負けてはいられない と生徒たちも一心不乱にプレートを叩きます。工場内にカン!カン!カン! という“板金屋らしい”音が響き渡ります。「プレートが動かないように押 さえるのが難しい」「偏りができてしまって、きれいな形にならない」とい う声が多い中、小坂井講師から“筋がいい”と太鼓判を押された酒井さんは 「ただなんとなく感覚で叩いていたらうまくできました」と、有望株の片鱗 を垣間見せました。きれいに丸みを帯びたスプーンを手にみんな満足そうで す。

体験を通して見つけた新たな気づきと学び

生徒たちに実習の感想を聞いてみる「すごく楽しかった!」と口を揃えます 。「修理工場がこんなに近所にあると思わなかった」「普段見ることができ ない仕事や知らないことを体験できてよかった」という新たな発見もあった ようで、岩月さんは「これから走っている車を見る目が変わりそう!この車 、なかなかきれいに塗装してあるなって(笑)」と、この仕事に興味を持っ てもらえたよう。さらに、職場の雰囲気やスタッフの仕事ぶりに対して、「 みんなで協力して仕事をしている雰囲気がよかった」「細かいところまで丁 寧に修理していて、もし将来自分が車を傷つけてしまったら、ここで修理し てもらいたい!」という、エンジニア冥利に尽きるうれしい感想もありまし た。 堀田さんからは「この仕事をしていてどんな時が楽しいですか?」という質 問も。「事故車が自分の力できれいに修理されて、それがお客さんの元へ帰 っていくことかな」「うまくできなかったことができるようになったときが 一番楽しい」という講師の答えを頷きながら聞いていた生徒たちの姿も印象 的でした。

講師の2人から熱いメッセージ

専門学校「トヨタ名古屋自動車大学校」を卒業し、ネッツトヨタ中部に就職 した講師の2人。「何を勉強しておけばよいですか?」という質問に対し、 「車のことに詳しいに越したことはないけど、5教科をしっかり勉強してお くことが大切。そのほうが、職業の幅が広がるし、視野も広がるからね」と アドバイス。 実習の締めくくりには、「2日間で“仕事って何か”を理解してもらうのは 正直難しいと思っていたけど、みんなの顔が明るくて楽しそうだったから、 何か伝わったんじゃないかな」と山家講師。また、小坂井講師は「僕も仕事 を始めたばかりの頃は、よく失敗もしていました。でも失敗から学べること がたくさんあるから、失敗を恐れないで。でもミスをしたら、ちゃんと “ 報・連・相”しないと怒られるよ(笑)」と、生徒たちにメッセージを送り ました。 実習の最後には、自分たちで塗装をしたプラモデル(プロがクリアー塗装で 最終仕上げ!)と、一所懸命に叩いて作ったスプーンが贈呈され、2日間の 職業体験実習は無事終了となりました。

私たちが子どもたちに伝えたいこと

板金・塗装という仕事は、なくてはならない大切な仕事にもかかわらず、ど うしても“日陰の存在”になりがち。それ故に、なり手が少ないという現状 があります。どうすればこの仕事のことをもっと知ってもらえるのか?将来 を担うエンジニアをどう育てていくべきなのか?そう考えたとき、モノづく りのベースである工場で、実際に使われている道具で、板金・塗装を体験し てもらうことが一番だと考えました。今回の職業体験実習では、ここでしか できないリアルな経験をしてもらえたのではないでしょうか。 車の仕事にはいろいろな人が関わっています。車を作る人、車を売る人、車 を直す人。また車も、メーカーが違えば、性能も違う。目的も違う。これを 機にそんな車のおもしろさを感じてもらい、少しでも車に興味を持ってもら えたらうれしいです。 諸輪中学校の皆さん、またいつでも遊びに来てくださいね!